サッカー日本代表は1月14日に行われたアジアカップ2023のグループリーグ初戦を勝利で飾った。そこで“激写”された1枚の写真に、ファンが胸を熱くしている。
3大会ぶり5度目の優勝を狙う日本代表は、大会初戦で元日本代表監督であるフィリップ・トルシエ氏が率いるベトナム代表と対戦した。そのキックオフ前、選手たちの入場口付近でトルシエ監督が抱擁を交わしたのが、日本代表のコーチを務める名波浩氏だった。
名波氏は、言わずと知れた日本代表の元10番。トルシエ監督の下でアジア制覇を成し遂げた2000年のアジアカップでは、準々決勝・イラク戦で日本代表史に残る美しいボレー弾を決めるなど、攻撃の中心として出色の働きを見せて大会MVPに輝いた男だ。
だが、トルシエ監督と名波氏の間にあるのは“歓喜”だけでない。1999年のコパ・アフリカでは、チームが惨敗した中でトルシエ監督が「名波はスタミナ不足、10番の器ではない」「一生リーダーになれないタイプ」などと名指しで批判した。さらに2002年の日韓ワールドカップでは、怪我によって調子が上がらない名波氏を、トルシエ監督はメンバーから外す決断を下すことになった。
それだけに2人の再会、そして抱擁には、さまざまな感情が入り混じったものだったはず。それでも2人が歓喜したアジア制覇から20年の月日が経過した中で、同じアジアカップの舞台で抱擁写真は、非常にエモーショナルなものとなっている。