テレビなど日本のメディアでは連日、中東危機について報じられている。その行方を、多くの人が案じている。蹴球放浪家・後藤健生も、そうしたひとりだ。サッカーというフィルターも通して、中東へと目を向け続ける。
■緊迫する中東情勢
中東情勢が緊迫化しています。
10月7日にパレスチナのガザ地区を実効支配しているイスラム勢力「ハマス」がイスラエルに対してロケット弾やパラグライダーなどを駆使した大規模な攻撃を仕掛け、1000人以上のイスラエル人を殺害、200人以上を人質として拉致したのです。
これに対して、イスラエルはハマスの壊滅を目指してガザ地区を攻撃。水やエネルギー供給を絶たれたガザ地区は人道的危機に陥っており、イスラエルが地上侵攻を実行すれば双方に多数の犠牲者が出ることは間違いありません。
ユダヤ人は、遠い昔に現在のパレスチナの地に住んでいた民族なのですが、2000年前にエジプトやローマ帝国などに支配され、ユダヤ人は世界中に散っていきました。その後、長くアラブ人が普通に暮らしていたパレスチナに、ヨーロッパで迫害を受けたユダヤ人が戻ってきて、この地にユダヤ人の国を建国しようという運動が起こりました。
そして、第2次世界大戦後、「イスラエル」が建国され、アラブ人(パレスチナ人)は土地を奪われ、難民として苦しい生活を強いられます。
その後、パレスチナ人を支持するアラブ諸国とイスラエルとの間で何度も戦争が起こりましたが、1993年にはイスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)が双方の存在を認め合い、ヨルダン川西岸とガザ地区にパレスチナ暫定政府が発足しました。しかし、イスラエルは合意を破って入植地を拡大していきました。
ハマスのイスラエルに対する攻撃が「テロ」行為なのは間違いありません。また、そんなことをしたらイスラエルの全面攻撃を受けてガザ地区のパレスチナ人住民が悲惨な目に遭うことは分かりきっていたのに攻撃を仕掛けたのですから、擁護のしようもありません。
しかし、イスラエルに正義があるとも思えない……。まさに泥沼のような紛争です。