長年話し合われてきたJリーグのシーズン制で、大きな動きがあるようだ。「秋春制」への移行が近づいている、と報じられている。白黒つかざるを得ない案件ではあるが、その内容について、もっと吟味するべきではないか。シーズン制で本当に考えるべき点を、サッカージャーナリスト・後藤健生が指摘する。
■ACLの変化
今年になって、秋春制移行論の論拠として取り沙汰されるようになったのが、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のシーズンが秋春制に変更になったことだ。
これまで、ACLは2月に開幕して11月に決勝というスケジュールで行われてきた。春秋制を採用している東アジア諸国にとっては好都合だが、秋春制で行われている中東のチームにとっては難しい日程だった。グループステージ終了とともにシーズンオフに突入し、ノックアウト・ステージは新チームで戦わなければならなかったのだ。
だが、9月に開幕した今シーズンのACLは秋春制が採用されており、2024年5月に決勝が行われるので、逆に春秋制を採用している東アジア諸国にとって不利な日程になってしまった。
新型コロナウイルス感染症の影響で、2022年大会の決勝は今年の5月に行われ、浦和レッズがサウジアラビアのアルヒラルを破って優勝した。浦和にとっては、新シーズンに入ってからの決勝ということになったが、2023年に入ってから決勝まではかなりの時間があり、マチェイ・スコルジャ新監督の下でチームがまとまり始めていたので、5月決勝がむしろ幸いした。そういう例外はこれからもありうるだろうが、基本的にはシーズンをまたいでACLを戦うのは望ましいことではない。
だから、ACLのシーズン制変更がJリーグの秋春制移行論の後押しになったのは間違いない。