■モロッコ躍進を喜ぶFIFA

 クロアチアは6試合を戦って成績は1勝4分1敗! 2試合連続でPK戦勝ちでベスト4入りしてしまった。しかも、それを2大会続けたのだから批判されていてもおかしくない(1990年大会でアルゼンチンがやはり2試合連続PK勝ちで決勝進出を果たした時はかなり非難を浴びた)。

 やはり、クロアチアのひたむきな戦い方が人々の気持ちを引き寄せたのだろう。それと、ルカ・モドリッチというキャプテンの人間性によるものでもあるのだろう(つまり、イタリアでは嫌われていたディエゴ・マラドーナと違って)。

 一方のモロッコもスペイン戦のPK勝ちも含んでいるが、ベルギーやポルトガルといった強豪国をなぎ倒しての準決勝進出で大会を盛り上げた(ベルギーやポルトガルはチーム状況が良くなかったが)。

 モロッコは開催国カタールと同じアラブ系のイスラーム教国だったので地元観客からサポートを受けることができたし、ヨーロッパを中心に激しく非難されているワールドカップのカタール開催を正当化したいFIFAの思惑とも一致した。

 モロッコ代表選手の半数ほどがヨーロッパ生まれ、ヨーロッパ育ちだ。つまり、ジブラルタル海峡を挟んでイベリア半島と対峙するモロッコは地理的にヨーロッパ大陸に近く、フランスの保護領だったため文化的にはフランスの影響も強い。

 西ヨーロッパ各国にはモロッコ移民のコミュニティーが存在しており、そうしたヨーロッパ在住モロッコ人の子供たちがヨーロッパでサッカーを始めるのだ。そして、モロッコ代表を選択した選手たちが祖国のために活躍している。いわば、半分はヨーロッパのチームと言ってもいいのだ。

 そういう意味では2002年日韓大会で3位になったトルコに似ている。トルコはUEFA所属という違いはあるが、ともにヨーロッパ大陸に隣接したイスラーム国家で、ヨーロッパに住んでいる人が多く、そこで育った選手を多数代表に招集してチームを作った。

 そういえば、2002年大会の3位決定戦はソウルで行われた。ソウルでの準決勝(ドイツ対韓国)を見てから帰国して、埼玉での準決勝(ブラジル対トルコ)を見た後、再びソウルに行くのはさすがに面倒だったので、あの3位決定戦も見に行かなかったなぁ。

(11)へ続く
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