精神的疲労のたまる大会で、ドイツが日本に敗れた最大の原因は慢心にあり【カタール現地ルポ“計25大会出場”ジャーナリストのW杯】の画像
ドイツには慢心があったか 代表撮影:雑誌協会/松本輝一

  2人合わせて「ワールドカップ25大会」を取材した、ベテランジャーナリストの大住良之と後藤健生。2022年カタール大会でも現地取材を敢行している。古きを温め新しきを知る「サッカー賢者」の2人がカタール・ワールドカップをあらゆる角度から語る!

■疲れがたまるワールドカップ

 11月25日の試合で、カタール・ワールドカップのグループリーグもようやく一巡目を終了した。開幕戦を含めて9試合を観戦したことになる。

 皆さんもご承知のように、カタールという小国に世界32か国のサポーターが集まるのだから当然のように宿泊施設は不足している。その結果、宿泊料は高騰したまま開幕を迎えても値崩れを起こすことはなかった。

 僕は、開幕1か月前になってようやく1泊66ドルというところを見つけて泊まっている。「ラッキー、66ドルなら7000円くらい!」と喜んだのだが、66ドルはなんと1万円だったのだ! もっともこれは黒田東彦日銀総裁のせいであって、カタールの責任ではない。

 そういうわけで、僕は世界中のサポーターが数千人泊まっている宿泊施設に入っているのだが、これがメトロのレッドラインの最南端「アル・ワクラ」駅からシャトルバスで40分近くかかるのである。

 バスはどんどん出ているし、バス代も当然タダなので便利は便利だが、たとえば22時開始の試合が終わると24時。その後、バスやメトロを乗り継いで「アル・ワクラ」までたどり着いてからシャトルで移動すると、部屋に戻れるのは2時前後というので寝不足で疲労がたまってきている。

 大住さんのように1日1試合にすべきだった……とも思うのだが、しかし、たとえばモスクワに泊まって夜行列車でサランスクまで行って、試合を見た後、再び夜行でモスクワに戻るとか、TAM航空(ブラジル再大手の航空会社)を乗り継いでブラジル国内を移動し続けるのに比べれば、地下鉄とバスでの移動など大した問題ではない。

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