■欧州は「富」の源泉を考えない
放映権というカネの流れだけではない。選手も、現在の欧州サッカーを支えているのが南米やアフリカ、北米、アジアの選手たちであるにもかかわらず、それに対して何の見返りもない。貧しいプロリーグで、欧州のビッグリーグから見れば信じ難い薄給でプレーしていた選手を獲得する資金が「正当な移籍金」であっても、その額は彼らにとってはほんのすずめの涙に過ぎず、多くの場合にはその移籍金さえ支払わずに世界中の指導者たちが手塩にかけて育てた選手をかっさらっていってしまう。多少の「トレーニング費用」など、その選手がプレーすることで欧州のサッカーが得ている資金のほんの一部でしかない。
こうして、世界のサッカーは貧しい国はさらに貧しくなり、その一方で欧州のビッグリーグ、ビッグクラブが、コントロールが効かないほど巨大化していくサイクルにはいりこんでしまっている。
UEFAやその傘下にあるビッグリーグ、ビッグクラブは、世界のサッカーの健全な発展になど、何の関心もない。当然、それをサポートする責任感も感じていない。その姿勢が正しいことだとは、私は絶対に思わない。
私たちは物乞いではない。欧州にただ恵んでくれと言っているのではない。しかし彼らの「富」が何を源泉に生まれたかを冷静に考えれば、欧州のサッカーは世界のサッカーに対する責任があるのは明らかではないか。世界のサッカーが健全に発展し、世界中で人びとをより幸せにするため、欧州のサッカーはその責任を果たさなければならない。