元サッカー日本代表・岩政大樹氏独占インタビュー(1) 「共通言語がなければ、ピッチで話すことができない」「グアルディオラが特別である理由」の画像
岩政大樹氏 (C)PITCHLEVELラボ

 2021年8月、自国で開催された東京五輪でU-24のサッカー五輪代表は4位となった。それに続く9月、10月、11月と、今度はフル代表がカタールワールドカップ最終予選に臨み、11月現在、6試合を終えて4勝2敗で6か国中2位につけている。

 日本はワールドカップには初出場だった98年のフランス大会から、これまで6大会連続で出場しているが、はたして「日本と世界との差」は縮まっているのだろうか。

 自身も日本代表としてプレーし、現在は解説者、指導者として活躍している岩政大樹氏にとっても「日本と世界との差」は大きなテーマになっている。

『FootBall PRINCIPLES-躍動するチームは論理的に作られる-』(発行/(株)JBpress・発売/ワニブックス)を上梓した岩政氏に話を聞いた。

■サッカーの「原則」について

 実際に試合を動かすのは選手だ。指導者ではない。選手の判断・能力で最終的に現象=結果がもたらされる。岩政氏は「一試合一試合で起こる現象を見て、選手の判断だけを取り上げてしまうと日本サッカーの成長スピードを早めることはできない」と指摘する。

 起きた現象に対して共通のベースである「サッカーの原則」がしっかりと押さえられているかどうかを、指導や解説をするうえで言及すべきだというその理由とはーー。


__現役時代を含めて、「原則」という言葉をいつ頃から言語化できたのでしょうか?

「原則という言葉を使うようになったのは、そんなに早くなくて。どちらかというと現役時代は「セオリー」という言い方だったりとか。こうなったらこうなるという。

たとえば、練習が終わった後に「こうなったら、こうなるんだな」っていう経験値みたいなもの。それを自分の中で振り返って、そのどこに法則があるのだろうか、っていうことを見つけていって、やってみたら意外にそうじゃないこともあるんだな。でも、そうじゃないこともあったとしても、それを含めてもこっちのほうが確率が高いんだったらこっちだな、ということで、段々まとめていくという感じで、自分で見つけていったことが多いですね」

__同じ状況は2度と起こらないと言われるサッカーにおいて「原則」は無限にあるように感じられますが、改めて原則を言語化する意味を教えてください。

「僕の中で原則の数は多くないと思っています。原則をもとに選手の判断が無限にあるので、どうやってプレーするかっていうことはその時に常に変わってくるので無限にあるということであって、原則は限られます。原則はすべてを網羅するものでは決してないですよね。ただ、それ(原則)が頭にないと考えるための基準がないですし、チーム内で共有するための言葉にする基準がない。

言葉だって、「あいうえお」、「かきくけこ」が決まっているからその中から言葉を選びますけど、サッカーの中の共通言語がピッチ内でなければ、選手たちで話すことができない。それを定めるのが原則であって、その原則をもとにどうするってことを考える。それによって結果、確率は高くなるということです。」

  1. 1
  2. 2
  3. 3