大学サッカーは、ヨーロッパにはない選手の育成機関と言える。その大事な場所は、どう進歩していくべきなのか。大学サッカーについて考える。
■今季の勝点が示すもの
2021年の関東大学リーグは、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を強く受けた戦いとなった。
そもそも、10月30日に第22節を終えた後の11月13日に“最終戦”が行われたのも、新型コロナの感染拡大によって多くの試合が延期されていたからだった。この日の“最終戦”は本来なら9月下旬に行われていたはずの第17節の延期分だった。
それが、偶然にも3チームが優勝に絡むというエキサイティングな日程を生んだのだから、これは“神様の悪戯”とでも言うしかない。きっと、神様もこうした状況下で運営面で苦労したであろう大学サッカー関係者へのプレゼントのつもりだったのかもしれない。
新型コロナの影響は数字的にも表れている。結果として、リーグ戦は大混戦だったのである。
たとえば、優勝を決めた流経大の勝点は41だった。これを、ここ数年の優勝チームの勝点と比較してみよう。
16年 明治大 (勝点47)
17年 筑波大 (勝点54)
18年 早稲田大(勝点46)
19年 明治大 (勝点56)
20年 明治大 (勝点48)
今シーズンの流経大の勝点41というのは、かなり低い水準なのだ。
誤解しないでもらいたい。僕がこういう数字を示すのは、けっして流経大の優勝にケチを付けるという意味ではない。今年が混戦だったことの結果として、そういう数字になっているのだ。
下位争いも混戦となった。
今年のリーグ戦で最下位(12位)となって2部降格が決まった慶応義塾大学は7勝3分12敗の勝点24だったが、これは例年だったら10位には入る数字だ。優勝勝点と同じように、最近の最下位校の勝点と比較してみよう。
16年 国士舘大(勝点21)
17年 慶応大 (勝点20)
18年 国士舘大(勝点16)
19年 東洋大 (勝点18)
20年 中央大 (勝点 9)
たとえば、コロナ禍の前の2019年のリーグ戦で勝点56を記録して優勝した明治大学のような圧倒的な強さを発揮したチームが今年はなかったのだ(22試合で勝点56というのは、まるで川崎フロンターレ並みの記録である)。