■前半だけで3点差

 もっとも、その2つの攻撃パターンはマンツーマンの激しい守備をかわすために有効なものではある。単純に個のパワーで上回る、1人剥がして自ら持ち上がる、というのはマンツーマンディフェンスを破る常套手段だ。しかし、それしかないとなれば札幌の守備が揺らぐことはない。

 狭いエリアでの連動とそこからの大きな展開、あるいは自分の動きに合わせて1人ついてくることを逆手に取ったスペースメイキング。ハードワークこそ可能になったが、まだそういうデザインされているものを見せられない状態のガンバに対し、札幌はボールへの寄せをより強め、奪取した勢いそのままにデザインされた素早い攻撃で襲い掛かった。

爆発的なスプリントでガンバを慌てさせた小柏剛 ガンバ大阪vs北海道コンサドーレ札幌(20211002)撮影/原壮史

 ピッチの様々な場所から「ポジション!」というガンバの選手の声が聞こえてきたが、そういう問題でもなかった。上手くいかない中でもいつも通りのやり方で戦おうと固執してくれた時点で、札幌は容易に戦うことができた。前半だけで0-3。勝負は決した。

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