■「チェックイン」や「英語」がない空港だった
見ると、奥の小さなゲートのようなところに乗客が並んでいるようです。行ってみると、たしかにそこが61便の出発ゲートでした。
つまり、この空港では「チェックイン」という“面倒な”作業は行われていなかったのです。時間になったら直接ゲートに行って、そこで航空券(ボーディングパス=搭乗券ではない、チケットの方)をビリッと破ってもらいます。そして、ゲートのそばに置いてある、年代物のバネ秤で荷物の重さをチェック。それで、すべて終わりです。
乗客は、そのまま階段を降りて飛行機の前まで荷物をゴロゴロの引きずって行き、そこで係員に荷物を渡して積み込んでもらいます。ロストバゲージ(荷物の紛失)が起こりようがない、最も安心な方法と言えましょう。
「ボーディングパスがない」ということは、つまり機内は全席自由席です。約30人乗りのヤク40型機に乗り込んだ僕は、すぐに左側の窓際の席に座りました。タシケントまでの2時間強のフライトで天山山脈の景色を楽しむためでした。
世界の辺鄙なところを旅行していると、空港に辿り着くと一安心できます。なにしろ、チェックインから搭乗までの空港のシステムは万国共通ですし、たいていの空港では現地語以外に英語が通用します。だから、困難な旅行を続けていて空港に着くとホッとするのです。
しかし、このマナス国際空港のように全世界共通のシステムと違っているうえ、英語が全く通じない空港もあるのです。空港で大変だった思い出というとインドのニューデリーとナイジェリアのラゴスを思い出しますが……。