■レアンドロが中央で存在感
ボールを受け取ったレアンドロは相手の守備をうまくいなしながら、中に入る体勢から縦にスルーパスを出す。そこに走り出したのは、ディエゴ・オリヴェイラ。背番号9はペナルティエリア内でパスを受けると、体をしなやかにきしらせながら中にクロス。そこに走り込んだのがアダイウトンで、この快速ドリブラーは飛び出したGK六反勇治との近い間合いも気にすることなく、その股を抜いてゴールネットを揺らした。
ブラジリアントリオだけで高速カウンターを発動し、そのままゴールに結びつけてしまった。
FC東京は4-3-3を基本システムにし、3トップに強力アタッカーをそろえて縦に早いサッカーを展開する。しかしこの試合では、4-2-3-1に近い形で、レアンドロを中央に据えた。そのレアンドロがボールをキープし、前進させてと司令塔として機能。アダイウトンのスピードやディエゴ・オリヴェイラの強さを見事に生かした。
このブラジル人トリオは個のスキルが圧倒的に高いうえにフィジカルも強く、ピッチに立てば確実に仕事をするが、問題もある。
FC東京は、前線の選手が組織的に手数をかけて攻撃を仕掛けるチームではないため、このブラジリアントリオが何人いるかによって、前線の迫力が変わってしまうのだ。当然、決めるところで決めることができれば守備陣も焦れずに対応できるが、そうでなければ、守備陣も踏ん張りが利かなくなる。強力だからこその弊害が生まれるのだ。