■明石といえば東経135度の子午線

 ちなみに明石の「きしろスタジアム」は、明石城跡の「明石公園」内にあり、バックスタンド後方には国の重要文化財である「坤櫓(ひつじさるやぐら)」が見えます。また、公園内には、日本には珍しいローンボウルス(芝の上のボウリングのようなスポーツ)のコートがありました。

 さて、明石といえば……蛸なんですが、アルコールなしでどうやって蛸を楽しんだらいいのでしょう? 悩んだ僕は、なんとフレンチ・レストランで明石の鯛と蛸をいただいたのでした、ワイン抜きで!

 そして、もう一つ。明石といえばお目当ては東経135度の子午線です(「子午線」というのは北極と南極を南北に結ぶ線=経線のこと)。

 日本は世界の標準時と9時間の時差があります。その日本の標準時の基礎となるのがこの135度の子午線なのです。この子午線上を太陽が通過した瞬間が日本の正午と定められていました(現在では、時刻はもっと厳密な方法で決められています)。ぐるりと地球を1周360度。1日は24時間ですから15度で1時間の時差ということになります。そして、15×9=135というわけです。

 鯛と蛸を食してから、僕は早速子午線を見に行ってきました。普通の住宅街の真ん中に明治43年(1910年)に設置されたという「大日本標準時子午線通過地識標」が立っていました。

 その135度の子午線がここを通過していたとしても、特に明石が誘致のために頑張ったというわけではありません。たまたま、「それ」がここを通っていただけのことです。どこが基準(つまりゼロ度)になったのか? それが(皆さんご承知かどうか知りませんが)イングランドのロンドン南東部にあるグリニッジ(GREENWICH)でした。

 世界標準時は1884年に決まったのですが、当時世界最大の経済大国であり、世界最強の海軍を擁していた英国に基準が置かれたわけです。グリニッジには王立海軍大学や天文台があり、それでこの地が選ばれ、そして、その結果、135度の子午線がたまたま明石を通過することとなったというわけなのです。

※第2回につづく

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