■宮本監督の今後に期待
こうなると、攻勢を強めているように見えていたその前の時間帯の解釈も変わってくる。
宇佐美貴史が、低い位置でどんどんボールに関与していたのは、フィニッシャーになるという最大の長所を犠牲にしてでも、そう動かなければならない状況だったということだし、最終的にゴールに向かって飛んでくるロングボールに体を張るのがレアンドロ・ペレイラではなく宇佐美だった場面は、彼が頑張っているということより、その状況が既におかしかったのだ。
強烈な個の力で勝つチームであっても、チーム全体の適切な動き出しと選択の繰り返しは欠かせない。個の力をどこでどう発揮できる状況になっているのかが大切なのだ。
これは、この日ようやくデビューしたウェリントン・シウバが「皆が少し自信を失っているように感じる。それを取り戻すためには勝利を挙げないといけない」と語る一方で「そのためにはチーム一丸となって普段の倍以上の気持ちで練習に臨み、そこで自信を積み上げて勝利に結びつけなければ」とも言っているのに似ている。達成したい目的の1つ前の部分こそが大切なのだ。
10試合を終えて1勝。選手それぞれの能力が高いことは間違いないが、それを適切な場所で適切に発揮できなければ相手への脅威度は高まらず、勝ち数は伸びない。浦和戦に向けて、宮本恒靖監督はこの苦境を脱するためにどういう修正をしてくるだろうか。
■試合結果
ガンバ大阪 1―2 サンフレッチェ広島
■得点
36分 佐々木翔(サンフレッチェ広島)
44分 一美和成(ガンバ大阪)
65分 川辺駿(サンフレッチェ広島)