■三笘と久保には「あうんの呼吸」が

 このワンプレーはアルゼンチンの警戒心を強めた。その後は三笘が左サイドでボールを持つと、2人で対応するダブルチームどころか、トリプルチームで対応してくる場面もあった。

 アルゼンチンの選手は、伝統的に1対1に強い。インサイドワークにも長ける。今回のチームはさらに、間合いを詰めるのが早かった。Jリーグでプレーしている三笘には、同じ1対1の局面でもいつもと違う。相手の間合いや激しさに慣れるまでに、時間がかかるのは仕方のないことでもあった。

 それでも、ペナルティエリア内に入れば、相手も簡単には飛び込めない。

 54分だった。

 FW田川亨介が右サイドから中央へ持ち運び、ペナルティエリア内左の三笘にパスが通る。目の前にはCBとボランチがいたが、三笘はCBの股間を抜いてゴール前の久保へパスを通した。パスを受けた久保は左足でシュートするが、ブロックに遭う。

 得点にはつながっていない。それでも、第三者的に見ると窮屈なスペースは、彼らにとって十分に勝負できる空間なのだということがうかがえた。

 横内昭展監督は「2人ともそれぞれのプレーを尊重している面が強い。トレーニングを見ていると、あうんの呼吸がある感じがする」と話しているが、同時にプレーする初めてのゲームで、彼らはイメージを重ね合わせたのだった。

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