■イタリアで日本人DFが当然のように対戦する意味
2失点目は逃げてゆくロドリゴ・パラシオのフリーランに引っ張られてスペースを与えてしまったように見え、3失点目は大外のニコラ・サンソーネをケアをしてドリブルを止めに行けなかったように見えるが、それらは吉田のミスではなく、そういうことをする役割だったからだ。吉田はあくまでも役割をしっかりこなしただけだった。
仮に吉田がボールホルダーに寄ったとしても、その時は実際に吉田が気にしていた選手の方にボールが渡り、ゴールを決められていただろう。そうなってしまえばそれは吉田の責任だが、この試合の失点シーンはそうではなかった。
注目の顔合わせは、勝利したボローニャの冨安は普段ほど良くはなく、サンプドリアの吉田はしっかりと役割をこなしながらも3失点、というスッキリしない結果になった。
それでも、イタリアの地で日本人ディフェンダー同士が当たり前のように対戦できるようになったことは大きな意味がある。
内容よりも結果が重視され、負けないことが最優先とされることが多いイタリアは、ディフェンダーに細かい約束事が数多く求められる。日本はもちろん、ドイツやスペイン、フランス、イングランドなどでは学べないことがたくさんある。しかし言葉の壁があるため、後になってからそれを仕込まなければならない日本人ディフェンダーの評価は低い。
そういう国で、コンバートされることも多いとはいえ、センターバックを本職とする日本人選手が同時に評価を高めていることは、次の日本人ディフェンダーのための道ができることに繋がる。