Jリーグ「誰が横綱を倒すのか?」(3)国際的スーパーリーグの画像
圧倒的な強さを見せた川崎フロンターレ 撮影/中地拓也

※第2回はこちら
メガクラブが巨体を揺らして闊歩する。それが世界のサッカーの趨勢だろう。欧州の強豪リーグは盟主ともいえる一部のクラブがタイトルを独占し、財力に劣るクラブは後塵を拝するばかり。ひるがえって、Jリーグでも序列化が進み、優勝の可能性は数クラブに限られてきた。これらの現象をどう見ればいいのか。その論考は、Jリーグ、大相撲にはじまって、プロ野球からアメリカン・スポーツ、さらに欧州のサッカーリーグと、縦横無尽に駆け巡る。

■国際的なスーパーリーグが発足すれば

 しかし、開幕前から優勝チームが決まっているようなリーグは、見ている側として面白いのだろうか? 戦っている選手だって、タイトルを獲得して報酬も急上昇するのはありがたいだろうが、大相撲の横綱や大関と同じで「優勝して当たり前」の状況で戦っていたら、プレッシャーばかり大きくて楽しくないに違いない。

 だからこそ、メガクラブ同士が争うチャンピオンズリーグは人気を集めるのだ。メガクラブ所属の大金持ちのワールドクラスの選手たちが、キックオフの瞬間からタイムアップの笛まで、目の色を変えて懸命に走り抜いて戦う姿は、普段の国内リーグではあまり見られない光景だ。

 そして、それこそが本来スポーツのあるべき姿なのではないか。

 競技水準としては、ヨーロッパのチャンピオンズリーグにはまったく敵わないにしても、ACLで豊富な運動量で驚異的な粘りを見せて戦う韓国勢とか、ワールドクラスの外国人選手をそろえた中国勢と戦う試合は僕たち日本人ファンを熱くする。

 つい先日(1月21日)、FIFAUEFAなど6つの大陸連盟と共同でスーパーリーグ構想に反対するための声明を発表したというニュースがあった。

 ヨーロッパ各国の強豪クラブを集めて、新リーグを立ち上げるという話は、それこそ僕が若いころから何度も「出ては消え」を繰り返している話題である。

 現在のチャンピオンズリーグ、かつてのチャンピオンズカップの人気を考えれば、強豪同士が日常的に戦うスーパーリーグが実現すれば、素晴らしいエンターテインメントになるし、ビジネスとしても成功することは間違いない。

 だが、そこに参加できないクラブ、強豪がスーパーリーグ加盟のために脱退してしまった各国リーグにとっては死活的な大問題だ。一部のメガクラブだけが栄えて、選手を育成して供給する役割も持つ各都市に散在する大小のプロ・クラブが破産してしまったら、サッカーというスポーツの将来はない。

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