2006年にクラブを去ったペレスだが、2009年夏にマドリー会長のポストに返り咲く。すると、再び、ロス・ガラクティコスの香りがマドリードに漂い始める。クリスティアーノ・ロナウド、カカー、カリム・ベンゼマ、シャビ・アロンソが続々と加入。その夏、補強資金2億6400万ユーロ(約316億円)が費やされ、再出発が図られた。
ただ、その折、宿敵バルセロナが全盛期を迎えていた。ジョゼップ・グアルディオラ監督率いるチームが、リオネル・メッシ、シャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタを中心にポゼッションフットボールで欧州を席巻していた。その牙城を崩すのは、ペレスといえど、簡単ではなかった。ゆえに、第一次政権では就任から2年でビッグイヤーを掲げたが、第二政権においてはデシマ(クラブ史上10度目のCL制覇)達成まで5年弱が必要だった。
ペレスにとって、デシマ達成に向けた最後の切り札が、ガレス・ベイルの獲得であった。前線の目玉補強、またクリスティアーノ・ロナウドの後継者としての期待が、ベイルには懸けられていた。C・ロナウドへの配慮で公表されなかった移籍金は、1億ユーロ(約115億円)に上るといわれている。
以降、マドリーが一人の選手に移籍金1億ユーロ以上を払うのは、エデン・アザール(2019年夏加入/移籍金固定額1億ユーロ)獲得まで、なかった。ネイマール、キリアン・エンバペ、フィリペ・コウチーニョ、ウスマン・デンベレ、ポール・ポグバ...、各クラブが大金をつぎ込んで、大物選手獲得に走る中、ペレスは以前のように大型補強を行わなくなっていた。
その間、ペレスは、若手推進プロジェクトを進めていたのだ。