最近は比較的メンバーを固定して戦うことが多くなっているものの、まだチームとしての完成度の高さを感じることができない「なでしこジャパン」にとっては、東京オリンピックまでの1年は貴重な準備期間として使えそうだ。
日本代表が3戦全敗に終わった「シー・ビリーブスカップ」では、“絶対女王”のアメリカが順当に3戦全勝で優勝した。当然、彼女たちが東京オリンピックでも最有力の金メダル候補である。
しかし、この大会での日本の3試合の中で最も良い内容だったのは最終のアメリカ戦だった。前半の早い時間にFKから失点し、さらにGKのミスキックを拾われて2点差とされたものの、その後岩渕のゴールで1点を返した日本は後半は日本らしいパス・サッカーで反撃し、決めきれなかったものの同点機もあった(最終的には1対3の敗戦)。
良い試合ができたのは、一つには日本チームの状態が上向いてきていたからだった。
日本の選手たちは昨年12月の皇后杯全日本選手権以降シーズンオフに入っており、「シー・ビリーブスカップ」がオフ明け最初の試合だったのだ。そのため、試合勘を取り戻せずミスからの失点を繰り返してしまった(対戦相手のスペインやイングランドはシーズン真っ盛りだったし、アメリカ代表はオリンピック予選直後で完成度が高かったのだ)。しかし、試合を重ねるとともに日本も調子を上げてきており、最終のアメリカ戦では良い戦いができたのだ。
日本が善戦できた理由はもう一つあった。アメリカのプレッシャーが思ったより甘かったのだ。それでも、守るところはしっかり守ってセットプレーと相手のミスから得点して勝利するあたりはさすがだったが、中2日の連戦による疲労の影響も大きかったように見えた。
女子アメリカ代表は、日本とは対照的に年齢の高い選手が多い。「シー・ビリーブスカップ」代表23人のうち、この時点で30歳を超える選手が10人もいたのだ。とくに、FW登録の7人のうちなんと6人が30歳以上で、最年長のカーリー・ロイドは現在37歳だ。
もちろん、1年後の東京オリンピックまでには若返りも図るのだろうが、いずれにしても年齢層の高いアメリカにとっては「1年延期」はけっして望ましいことではない。7、8月の日本の酷暑の中での6連戦を彼女たちは戦い抜けるのだろうか?
金メダル争いを考える上では、このあたりも大きなポイントになるような気がする。