沈黙を貫いた主将。遠藤航はなぜ、誰にも言葉を残さずにチームを去ったのか【日本代表・知られざる「背番号6」のバトン(1)】の画像
関係者、そして日本中に衝撃を与えたキャプテン遠藤航の電撃離脱、そしてSNSでの突然の代表引退。空白の数日間に何があったのか? 撮影/原壮史(Sony α1使用)

 現地時間6月14日。北中米ワールドカップ初戦となるオランダ戦のキックオフまで、残りわずかとなった。決戦の地には、かつてない異様な緊張感が漂っている。
 これまで順風満帆に調整を続けてきた日本代表に、特大の衝撃が走ったのは3日前の11日だった。絶対的な主将である遠藤航がチームを電撃離脱。直後には自身の公式SNSで代表引退を発表したのだ。現地で密着取材を続ける記者の目から見えた、この予期せぬ事態と「空白の数日間」の裏側をお伝えする。(取材・文/フリーライター 了戒美子)

 5月31日のアイスランド戦で古傷の左足首甲をさらに痛めていた遠藤は、6月3日から始まったメキシコ・モンテレイでの合宿では一度もピッチで練習を行えていなかった。8日にベースキャンプ地であるアメリカ・ナッシュビル入りし、全体練習に合流した10日の夜に森保一監督が苦渋の決断を下し、11日朝に遠藤はチームを去った。

 ほとんど練習を行えていなかった現状を踏まえれば、離脱自体は不思議なことではない。むしろ、自然な判断とも言える。だが、遠藤が離脱の際にチームメイトへ挨拶の類を一切行わなかったこと、そして離脱直後にSNSで代表引退を宣言したことは、関係者に大きな衝撃を与えた。

 苦しい胸の内は想像に難くない。しかし、キャプテンであればこそ、苦楽を共にしてきたチームメイトに最後のひと言くらい挨拶をしたかったのではないか、とも同時に思う。

 いち報道陣としては、3日から11日までの間に、遠藤がただの一度もコメントを発しなかったことも引っかかっている。一度くらい、何らかの発言を残してもよかったのではないか。彼がどれほどの深い絶望と苦しみを一人で抱え込んでいたのかは、今となっては想像するしかない。

 チームメイトへ最後の挨拶を行うことなく、静かに代表を去った遠藤。だが、そんな彼がたった一人、直接連絡を入れた相手がいる。それは、自らの代役として急きょ追加招集されたFW・町野修斗だった。

 はたして、沈黙を貫いた前主将は、背番号「6」を託す男に何を伝えたのか――。

つづく

(2)へ続く