
J3の福島ユナイテッドFCが8月30日、地域参加型「みんなでつくるスタジアム」として、日本初の完全木造&世界初の循環型木造スタジアム構想を発表した。
2002年に創設し、2014年にJ参入を果たした福島は、今季でJ3連続12シーズン目を戦っている。現在、とうほう・みんなのスタジアム(福島県営あづま陸上競技場)を本拠地として使用しているが、スタンド席はメイン側のみで、芝生席のバックスタンドとゴール裏は基本的に開放しておらず、2024年の平均観客動員数は20チーム中16位の約1800人。クラブ関係者、サポーターからは新スタジアム建設を求める声が大きくなっていた。
その中でクラブが新スタジアム構想を正式に発表した。クラブエンブレムに刻まれた「不死鳥」の精神を体現し、希望と再生の象徴として建設予定のスタジアムは、日本初となる完全木造にして、世界初の循環型木造スタジアムとなるとのことだ。
計画では、日本の伝統である「式年遷宮」から着想を得て、木造を採用し、福島県産の製材を積層することで全体を形成する。各部品は分解、再利用できる設計とし、地域資源の循環を推進。建築の部材を作る過程でクラブ関係者や地域の方々が「お祭り」のように制作に参加できる仕組みを導入する。加えて、植林や木工教育を通じて、次世代へ技術を継承し、資源、文化、技術の持続的な循環に挑戦するという。
さらに、福島の盆地型気候を活かし、自然エネルギーを最大限に利用したパッシブデザインを導入。屋根の形状により夏は日射を遮り、冬は冷風を防ぐ設計とし、外壁の形状変化によって夏は卓越風を取り込み、冬は風を遮断。集水した雨水を濾過することで再利用し、冬季に蓄えた雪を夏季の冷房に活用。エネルギーの自給自足の実現を目指し、最終的には、持続可能性と再生デザインを評価する世界最高水準の環境指標「Living Building Challenge」の取得に挑戦するとしている。