■川崎の新しい魅力を発信するために
前の記事で書いたように、このファン感の掴みでは河原創と土屋櫂大がザ・マミィの姿に扮していた。その際、土屋はサングラスをかけて、自らが似ているとされている林田洋平になりきった。そのネタ自体は、毎年同様に当日に考えたものだというが、スタッフはその“ボケ”を予見して、鹿島アントラーズ戦後に買いに行っていたというのである。
「サングラスがなくてもいいや、とはならないのがフロンターレなんです」
フロンターレのフットボール事業統括部 プロモーション部 広報グループ森澤諒大は、誇らしげにそう言い切ってみせた。
選手もしっかりと乗ってくる川崎フロンターレにあって、今後、どのような企画をやって行きたいか――フットボール事業統括部 プロモーション部 イベントグループの北森達也に尋ねれば、「私自身が川崎生まれ川崎育ちなんです」と前置きをしたうえで、次にように熱い言葉を発する。
「自分も知らない川崎の魅力がまだあると思っているんです。川崎市自体が発展を続けて人口も増えているので、新しい川崎の魅力をもっともっと発見していきたいな。そしてそれを、フロンターレの強みである話題性、ユーモア、地域性と合わせて、一緒に川崎市を盛り上げたいなっていうふうに考えています」
来年はクラブ30周年を迎える。新しく、そして大きな挑戦も控えているだろう。クラブの節目のタイミングで川崎フロンターレがどのような驚きをもたらすのか。それは、Jリーグクラブがいかに地域を揺り動かすか、その可能性の証明でもある。
(取材・文/中地拓也)