
J1ヴィッセル神戸DF酒井高徳が見せた「漢気」が大きな話題となっている。悔しい思いの残る古巣との“つながり”を大切にする姿に、日本とドイツ、両国のファンから称賛の声が上がった。
34歳の酒井はこれまで、4つのクラブでプロキャリアを築いてきた。現在所属する神戸ではクラブのJ1初優勝、さらに連覇という偉業に貢献したが、ドイツでもプロサッカー選手として“濃密な時間”を過ごしてきた。
初めての海外クラブであるシュツットガルトはもちろん、ハンブルガーSVでの時間も忘れられないことだろう。2015年に加入すると、シーズン途中からキャプテンを任されるほどの信頼を受けた。
だが、その栄誉は同時にプレッシャーを生む。酒井は奮闘を続けたが、加入3年目となる2017-18シーズンには2部降格が決定。1年での1部復帰を逃すと、落胆したファンの怒りが、キャプテンマークをつける酒井に向けられたこともあった。
そして、ハンブルガーSVを離れて6年となる今回、酒井は古巣からの要請に快く応じた。新シーズンのユニフォームのモデルをつとめたのだ。
神戸の南京街のような風景をバックに、酒井がHSVの新ユニフォームを着ている。背景の赤と、ユニフォームの青と白のコントラストが目に鮮やかだ。
だが、それ以上にファンの間では、湧き上がる思いがあったようだ。クラブのSNSで写真が公開されると、ドイツ語で「好感の持てる男」「レジェンド、忘れられないよ」「HSVファンは今でも彼に埋め合わせをすべき」「僕らはこの男にふさわしくない。僕らファンの彼への扱いを許してくれることを願う」などの言葉が並んだ。