■「川崎は日本一諦めの悪いチームで、日本一諦めの悪いサポーター

 筆者からさらに質問を重ねれば、「ファイナルを戦った意味は大きいですね」とも話し、「準決勝も初めて行きましたし、決勝も初めて来ましたし、優勝しか見てなかったんで、取れなかったことに対しての悔しさとか、喪失感というか、なかなか言葉では言い表せないですけど……」としたうえで、次のように話す。
「出ずっぱりの選手だったり、試合に出てた選手は、さらに何倍も悔しいと思うので、あんまり僕が何か大きなことを言うつもりはないですけど、素直に勝ちたかったし優勝したかった」
 サポーターへの気持ちも強い。この日、ゴール裏には700人ほどのフロンターレサポーターが訪れたが、「心強いサポーでした。こんな遠い場所まであんなにも多くのサポーターが来てくれて、しかも日本では夜ですし、向こうでバブリックビューイングで応援してくれたたくさんのサポーターの方々のためにも優勝したかったですけど……」と言葉を詰まらせる。
 そして、「川崎は日本一諦めの悪いチームだと思うし、日本一諦めの悪いサポーターの方々だと思うんで、何度でもチャレンジして優勝するまでチャレンジして、またこの舞台になんとか戻ってきたいと思います。その時、自分がいるかどうか分からないけど、直近では来年出られる。Jリーグや天皇杯を取って、またリベンジしたいっていう気持ちがより強くなってますね」と言い切る。
 川崎の苦しい時代をも知っている安藤だからこそ分かる、チームが栄光へと辿る道。シルバーから始まる物語をこれから紡いでいく。
(取材・文/中地拓也)

 

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