「本当にいいスカウティングでしたし、それをピッチ内の選手が体現できた」
得点場面を振り返って、こう誇ったのは川崎フロンターレの三浦颯太だ。その決勝ゴールが決まったのは、9月18日のAFCチャンピオンズリーグエリートのリーグステージ第1戦・蔚山現代戦の後半9分。マルシーニョが左サイドから中に切れ込んで、鮮やかなシュートを放った場面である。
一見するとブラジル人ドリブラーの個の力によるものにも見えるが、この裏には、チームが事前に行ったスカウティングと積み重ねがあった。起点はCB佐々木旭の最終ラインからのパスで、左のハーフレーンにいた三浦颯太をスルーする形で大外にいたマルシーニョに渡る。その瞬間、三浦は相手を引き付けながら縦に走り、その空いたスペースを使ってマルシーニョが中に切れ込んだという形だった。
「相手は4-3-3で、ウイングの選手のプレスが僕に来ないで旭君に行くっていうのはスカウティングで知ってたので、旭君、(橘田)健人君、俺で剥がしたら、その前に広大なスペースがある。前半のドリブルで運んだシーンもそうですし、得点シーンでも旭君が一個飛ばしをして僕がおとりの動きをできた」
そう話すように、相手の動きを事前にチームでしっかりと共有したうえで、その後の形も想定できていたからこそ、攻撃においてスムーズな連動ができたという。
「そのまま僕が受けてもいいですし、マルシーニョが行ってもいい。前半ちょっとだけ合わないシーンがあったんですけど、後半はうまくマルシーニョが個の力で行ってくれた」
こうも振り返って、2人の関係性でさまざまな形を持とうとしていた。