■ヘディング能力の向上と「本当の勝負」
全速で走ってきてパスを受けた三戸だったが、その瞬間にスペインDFエリック・ガルシアに背後から当たられ、コントロールが大きくなったところをパブロ・バリオスに拾われ、それがフェルミン・ロペスに渡ってしまったのだ。山本のパスがもっと強ければ、三戸は当たられる前にコントロールすることができたかもしれない。
山本を責めるわけではない。だが、このときのプレーが現在の日本の「スタンダード」であり、スペインとの明らかな差だった。
ヘディングは日本サッカーの重大な課題である。このチームではだいぶ改善されているように感じたが、それでも「ただ前にはね返す」だけのシーンが多く、相手に簡単に拾われた。スペイン選手のヘディングは正確に味方に渡った。この差は小さくない。ヘディング能力の向上は日本のサッカーの大きな課題だ。
今回、大岩剛監督が率いたU-23日本代表は、現代サッカーのさまざまな問題に影響され、「ベスト」にはほど遠いメンバーだった。しかし、そうした状況を大岩監督が嘆くことはなく、選手たちも「優勝」を目指して真っ向から戦って自分のもてる力を出し尽くした。その姿は、本当に立派だった。
4試合で終わってしまったのは残念だったが、22人の選手中15人がJリーグの経験しかなく、残り7人も欧州では「トップ」とはいえないリーグやチームに所属していることを考えれば、素晴らしい奮闘だったと言うことができるだろう。
残ったのは、「悔しさ」だけだったかもしれない。だが、それを忘れてはいけない。本当の勝負は、これからの所属クラブでの成長であり、戦いであり、日本代表としてのワールドカップだからだ。