「サッカーIQが少しずつマシになった」

藤田 小学校のときは、本当にサッカー一筋でした。休み時間はもちろん、学校が休みのときやサッカーの練習が休みのときも、みんなに連絡して、空いているグランドや公園でサッカーをしていました。

――サッカーが好き過ぎたんですね。

藤田 好き過ぎるというか、本当にサッカーしか頭になかったんで。飽きたら鬼ごっことか、そういう別の遊びもやっていましたけど、基本はサッカーをやるという感じでした。

――小学校のときは、肉体的に他の子よりも優れていたこともあって、フィジカルに寄ったプレーやドリブルが大好きだったとか。
 ゴールキーパーのときにはドリブルで持ち上がって、相手選手を全員抜き去って、ゴールトゥゴール(11人抜き)を決められたとの話も。監督には、相手に失礼だからダメと怒られたそうですが。
 小学校のときからボランチ(守備的MF)以外、センターバックやフォワード、サイドハーフなどさまざまなポジションでプレーしたことで、他の選手がボランチにどうしてもらいたいか、どういうプレーをしてもらいたいか、ということを学ばれた。
 そういったことで、周囲の人間を生かすプレーに目覚めていくわけですが、その際、自分のプレーの幅や、広い視野を身につけられるために、意識してやられたことはありますか? 

藤田 練習中、コーチが自分に対して話してない、アドバイスしていないことでも話を聞くようにして、いろいろな目線からサッカーが見られるように、というのは、小学校のときから意識してやっていました。

―――他のポジションのアドバイスを聞くことで、司令塔としての素養、ゲームメーカーの資質を磨いていったんですね。

藤田 ゲームメイクというよりも、さまざまなポジションや、いろいろな角度から学ぶことで、サッカーIQが、少しずつマシになったのかなと思っています。

藤田譲瑠チマ(ふじた・じょえる・ちま)
2002年2月16日生まれ、東京都町田市出身。ナイジェリア人の父と日本人の母との間に生まれ、小学生時代は町田大蔵FCでプレー。東京ヴェルディの下部組織で才能を伸ばし、2019年9月にトップチームデビューを果たす。その後、当時J1の徳島ヴォルティスから横浜F・マリノスを経て、2023年7月にベルギー1部リーグのシント・トロイデンへ完全移籍。日本代表デビューは、2022年7月の香港戦。4月にカタール・ドーハで開催されたU23アジアカップで、キャプテンとして日本代表を優勝に導き、自身も大会MVPに輝いた。パリ五輪出場を決めた準決勝のイラク戦では、長短2種類のパスで2アシストし、2-0の勝利に貢献。その広い視野、デュエルの能力、正確な技術、試合の流れを読む洞察力は、A代表の遠藤航(リヴァプール)以上との評価も。大岩剛監督の下、7月25日(パラグアイ戦)からのパリ五輪に挑む。ポジション=MF。身長175cm、体重76kg。

 

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