■斉藤と佐藤「ライバル関係」がもたらすもの

 最近はU-17やU-20の国際大会でも、各国がチームとして組織されたサッカーを披露。豊富な運動量を見せており、「個」としての違いを見せられる選手が不在の場合、差が生まれにくい傾向がある。
 クラブだけでなく代表チームでも、そのトレンドを取り入れ、それを形にするスピードはスペイン代表やペップ・グアルディオラ監督のパスによるボール保持サッカーが大流行したときよりも格段に早くなっている。
 そんな時代に行われるパリ五輪。体の厚みもキレも増し、ドイツのDFを押し戻しながらグイグイ突き進む佐藤は、フランスの地で勝ち進むための大岩ジャパンの大きな武器になってくれることだろう。
 オランダ1部リーグのスパルタ・ロッテルダムに所属する斉藤光毅(22)に、エースナンバーである10番は譲ったものの(佐藤はアジアカップまで10番、現在は18番)、大岩剛監督からの信頼はあつい。
 1998年のフランスW杯に出場し、優勝したフランスに惜敗したイタリア代表の背番号10番は、アレクサンドロ・デルピエロ。そして、18番は94年アメリカ大会の悲劇のヒーロー、永遠の10番、ロベルト・バッジョだった。
 現代サッカーにおいて、背番号の重みは薄れたのかもしれない。ただ、98年のイタリア代表のように、2人のライバル関係がチームに良い緊張感(?)をもたらし、日本代表の躍進につながることを願いたい。
 ラストピース斉藤光毅と、進化を遂げた佐藤恵允、2人のドリブラーが「個」としての違いを、フランスの大舞台で見せてくれることを期待しよう。

キックの精度でも「違い」を見せた佐藤恵允。撮影/原壮史(Sony α‐1)。
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