■入念な“対戦相手の研究”
ポポヴィッチ監督からは、相手の前ではなく裏で受ける動きを心がけるように指示されているという濃野がどんどん5バックの合間に入っていくことで、樋口や土居聖真、FWチャヴリッチなどがアタッキングサードでフリーになるシーンが増えたことで、名古屋のディフェンスも下がらざるをえなくなった。
前半19分にCKの流れから仲間隼斗のゴールで、鹿島がリードを奪ったこともあり、名古屋も中盤の森島司などを起点に、右サイドの久保藤次郎、左の山中亮輔が高い位置からチャンスに絡んでこようとした。実際、そこから危険なシーンもあったが、鹿島は4-2-3-1、名古屋は3-5-2とシステムがミスマッチの中でも、濃野は山中に粘り強く付いて、得意の左足をうまく使わせないように対応した。
「試合始まる前から山中さんの映像を見て、こういう癖のあるプレーヤーなのかなというのをちょっと勉強しながら頭には入れてたので。こういう持ち方をしたらこう蹴ってくるとか。こういう運び方をするというのは頭に入っていた」
後半の立ち上がりには追加点の起点に。濃野から樋口、交代で右サイドハーフに入ってきた藤井智也と繋がり、最後は左サイドから安西幸輝が出したクロスに新外国人のチャヴリッチが合わせた。濃野自身は直接ゴールに絡むところまで攻め上がるシーンが少なかったことを反省するが、後半17分に仲間隼斗の2点目となるゴールで3−0とする流れに貢献する働きだったことは間違いない。
(取材・文/河治良幸)