【浅野拓磨を取材して感じた「屈強なメンタル」。大舞台で結果を残し続けるワケ(2)】ブンデスの“チョコレート事件”も自分へのプラスのため。三笘をも超える監督からの信頼感の画像
9月のドイツ代表戦でのサッカー日本代表FW浅野拓磨 撮影:中地拓也
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 スタンドから投げ込まれた食べ物を、試合中の選手がピッチ上で口にする。浅野拓磨の行動がドイツ国中を驚かせたのは、1月16日のウニオン・ベルリン戦だった。

 ブンデスリーガの放映権株式を外部投資家へ売却する計画に、各クラブのファンやサポーター団体が抗議。ボーフムのホーム、ヴォノヴィア・ルーアシュタディオンでも、試合中にテニスボールやコインを模したチョコレートなどが投げ込まれた。

 そのひとつを浅野が食べた場面が、映像でとらえられたから大変だ。中継していたテレビの解説者は「食べてしまった!」とコメントしたが、周囲をさらに驚かせたのは前半終了間際に浅野が先制ゴールをゲット。3-0の快勝を導いたからだ。

 万が一、毒物や禁止薬物が混入されていたら――心配する声が上がるなかで、複数のドイツメディアがウニオン・ベルリン戦後の浅野のコメントを伝えている。

「とても疲れていて、このままではハーフタイムまで持たないと思った。あまりおいしくなかったけど、大事なのはチョコレートでエネルギーをもらったことです」

 すべてを前向きに考え、自分にプラスをもたらすと思えば迷わず行動に移す。プレー面で言えば、サッカーにはミスがつきものであり、例えしくじってもその後のプレーで挽回すればいい。浅野の脳裏には加点イズムが常に力強く脈打っている。

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