蹴球放浪家・後藤健生は今月、U-17ワールドカップを取材するためインドネシアを訪れた。海を越え、国境を越えていく取材旅行だが、今回はまるで時間も飛び越えたようだった。ジャカルタで、懐かしい東京の風景に出会ったのだ。
■ジャカルタで乗る千代田線
僕は、11月9日にジャカルタのスカルノ・ハッタ空港に到着して、すぐに空港鉄道で移動して、ドゥリ駅近くのホテルに泊まりました(空港鉄道の車両はインドネシアのINKA社とカナダのボンバルディア社が建造)。そして、翌日の夕方、在来線特急でバンドンに向かいました。ドゥリからブカシ線に乗って、ジャティネガラ駅でバンドン行きに乗り継ぎます。
長距離列車の始発は都心のガンビル駅なのですが、この駅にはコミューターラインは停まらずに通過してしまうのです。都心ですから、タクシーで行っても渋滞にはまってしまいそうです。不便なことです。
そこで、僕は長距離列車の最初の停車駅ジャティネガラで乗り換えることにしたのです。東京駅ではなく、品川で新幹線に乗るようなものですね。
ドゥリ駅で乗ったブカシ線の電車は、昔、東京メトロの前身「営団地下鉄」千代田線を走っていた6000系でした。天井を見上げると扇風機が回っていましたが、扇風機には帝都高速度交通営団時代の「赤いS字」のロゴが付いていました。
網棚も、つり革もすべてが見慣れたものばかり……。椅子に腰を掛けて車内を見回していると、なぜか安心感に包まれます。それに、冷房も利いていて快適です。