■東アジアで共通する文化
地名や人名も、もちろんすべて漢字があります。ハノイは「河内」、ホーチミンは「胡志明」、ホーチミン市の旧名のサイゴンは「西貢」といった具合です。
ミーディン・スタジアムは「サン運動美亭」。「サン運動」が運動場、つまりスタジアムという意味です(サンは土扁に「隣」の旁=つくり=)。
国際試合の前にはこんな場内アナウンスがあるはずです。
「コッカァ、ニャトバン」。「コッカァ」は「国歌」。「ニャトバン」は「日本」です。漢字語なら、理解可能なことが多いのです。
ですから、もしベトナムが漢字を復活してくれたら、日本人にとってベトナム語は分かりやすくなるはずです。発音はできなくても、意味はかなり分かるはずです。
せっかく、東アジア各国語で共通している漢字語というものがあるのですから、漢字をなくしてしまうのは本当にもったいないことだと思います。
韓国では今ではほとんど漢字は使われませんが、50年ほど前までは漢字ハングルの混じり文でした。ですから、当時の新聞の見出しを見ると、ハングルを全く理解できない日本人でもだいたいの意味は分かります。
ですから、僕は東アジア各国で漢字を復活させてほしいのですが、まあ、各国の国民感情を考えると実現は無理でしょうね……。