■「走れない、守れない、戦えない」の烙印
ただ、彼にも足りない部分はあるのは事実。ドリブル突破力や推進力という部分はやはり三笘に比べて見劣りするのは否めない。世界屈指のドリブラーと比較するのは酷かもしれないが、本人も「自分の仕掛けてタテにいけるようになりたい」と強調しているだけに、そこはブラッシュアップが必要。三笘や前田のようなスピードがない分、駆け引きや間合いを磨いていくことが必須テーマだろう。
「自分の武器はゴール前やペナルティエリア付近でのチャンスメーク含め、シュート・ドリブル・パスとかアイディアだったり、そういうもの。よりクロスに入っていくようなチャンスがあれば生かしたいですね」と9月シリーズの際、彼は自分自身が三笘とは全く異なるタイプのアタッカーだと評していた。
ただ、サイドにいる以上、どうしても打開力が求められてくるのも確か。現代サッカーのサイドアタッカーは敵を剥がして数的優位を作れるのがベースと言えるだけに、彼はその課題に徹底的に取り組むべきだ。
守備のハードワークや運動量、戦況を見極める目も磨ける余地がある。ガンバ大阪時代に宮本恒靖監督(現JFA専務理事)から「走れない、守れない、戦えない」と烙印を押され、U-23チームに落とされ、鍛え直されたという彼はもはや別次元の存在になっているが、もっと高い領域に上り詰めないと、三笘という高い壁を超えることはできない。賢い中村敬斗はその現実を誰よりもよく分かっているはずだ。