■スコア以上に監督評価に影響を与えた試合だった

 果たして、クロップ監督率いるリバプールはその状態のユナイテッドをまたしても攻略できなかった。1週間前の90分間と同じように打開策を示せず時間切れになるだけでなく、フェルナンデスに直接フリーキックを沈められてしまい、FAカップから姿を消すことになった。

 3-2のスコアとは関係なく、完勝と完敗だ。

 この2試合を通じて、スールシャール監督とクロップ監督の評価が入れ替わってもおかしくない。

 無策と言われてきたスールシャール監督は、相手の好む展開に乗っかってみせて2-2の好勝負を展開し、しかも最後には前の試合と同じ状況を作って勝利した。挑発に乗り、さらに挑発し返したうえで勝利する、という横綱の勝ち方をしてみせた。

 戦術家としてトレンドの中心にいたはずのクロップ監督は、2-2までの守備でも、その後の攻撃でも、自らの通常の形以外を決して見せず、引き出しがないことを露呈し続けてしまった。

 フィルジル・ファン・ダイクが不在でメンバーのやりくりに苦しんでいるとはいえ、メンバーが揃わなくてできないことがあるのならば、そこに調整を加えることが監督の役割だ。「守備的だ」と言ったあの発言も、何もできずに敗れたことで、自分では勝てません、という受け取られ方をしてしまうことは避けられない。

 同情の余地はなくなりつつあり、周囲も騒がしくなってくる。

 

■試合結果

マンチェスター・ユナイテッド 3ー2 リバプール

■得点

18分 モハメド・サラー(リバプール)
26分 メイソン・グリーンウッド(マンチェスター・ユナイテッド)
48分 マーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド)
59分 モハメド・サラー(リバプール)
78分 ブルーノ・フェルナンデス(マンチェスター・ユナイテッド)

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4