“tiene flor(ティエネ・フロール)”ジダン監督の「CR7後」銀河帝国レアル再建の秘密 の画像
ジネディーヌ・ジダン 写真:AP/アフロ

 ジネディーヌ・ジダン監督が、宙を舞った。1回、2回、3回...。それは黒いスーツにスニーカーという指揮官の出で立ちが様になってきた「ジズー」に長いシーズンを戦い終えた褒賞が届けられた瞬間だった。

 今季、レアル・マドリーが2016-17シーズン以来のリーガエスパニョーラ制覇を達成した。ジダン監督の復帰が決定してから、わずか16カ月。無冠で終わった屈辱の2018-19シーズンを経て、マドリーに再びタイトルがもたらされた。

■エース継承の失敗

 プロジェクトは人知れず進行していた。

 昨季、主要タイトルをひとつも獲れなかったマドリーにとって、重要なのは組織の再構築だった。フロレンティーノ・ペレス会長としては、そのためにジズーの帰還が必要だった。

 それはある種、「エース継承」における失敗でもあった。クリスティアーノ・ロナウドがユヴェントスに移籍し、ガレス・ベイルを中心にチームビルディングするという目論見は完全なる失敗に終わったのだ。ユレン・ロペテギ元監督やサンティアゴ・ソラーリ前監督の下でもベイルが負傷離脱の日々から脱け出すことはなく、定期的に試合に出場できない選手を主軸にするのは不可能だという現実が浮かび上がった。

 そして、C・ロナウドの退団で、選手間の序列に変化が訪れていた。そこでペレス会長はエース不在をカリスマの存在で埋め立てようとしたのである。そもそもペレス会長は2018年夏のジダン監督の退任を望んでいなかった。ゆえに後任決定に焦り、不可解なタイミングでスペイン代表を率いていたロペテギの招聘を決断。スペイン・フットボール連盟との衝突、ワールドカップ前のナショナルチームへの打撃を顧みずに自クラブの利益を優先して苛烈な批判に晒される結末を招いた。

 あの騒動を経て、エース継承の失敗があり、ジダンが戻ってきた。とはいえ、ジダンに全権が与えられたわけではない。事実、マドリーは昨年夏に指揮官が数年にわたり獲得を要望していたポール・ポグバを逃している。その中でジダンには新たなチームの操縦が求められていた。

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