「試合後に反省をするように」

小久保 それが難しいんですよね、けっこう落ち込むタイプだったので(笑)。でも以前、元日本代表の川島永嗣さんとお話しする機会があって、自分の良くない部分として、失点したときに落ち込んでしまうと相談したんですね。
 すると、川島さんが「試合中はプレーが続いているから、とりあえず試合が終わってから考えよう」ってアドバイスをくれて、そのうえで、「ミスや失点を積み重ねて、俺(川島)はここまで強くなったんだよ」と励ましてくれたので、その言葉がすごく胸に刺さりましたね。
 それからは、ミスをしても次のプレーに集中することを意識して、試合後に反省をするようになりました。
アジアカップの試合でも、ミスをしたときは、試合が終わってから動画を見直して、こういうプレーをすればよかったなあとか、この場面は集中力が足りてなかったなとか反省をしていましたね。

――では、海外リーグで戦う中で、印象に残っている選手はいますか?

小久保 昨シーズンから13年ぶりにベンフィカに復帰したアルゼンチン代表のディ・マリア選手ですね。
 シュートが別格なんです。ディ・マリア選手は、シュートスピードはそこまで速くないんですが、最後の最後までキーパーを惑わす。右に蹴るよという素振り見せて、左に蹴ってきたり、キーパーの動きを見て蹴るのをワンテンポ遅らせてみたり。そうやってキーパーが踏み込みにくいようにして、質の良いシュートを打ってくるので、本当にすごいなって。
 だから、言い方は悪いかもしれませんが、ディ・マリア選手のシュートは気持ち悪いというか、いやらしいんですよね。自分がちょっとでもポションをミスしたら、上を通すループシュートを狙ってくるし、ちょっとでも構えるのが遅れたら、鋭くて速いシュートをスパンって打ってくる。すっげえ、うまいんです。

――そんな選手がチームにいたら、小久保選手がすごいスピードで成長するのも分かる気がします。

小久保玲央ブライアン(こくぼ・れお・ぶらいあん) 2001年1月23日生まれ、千葉県出身。193センチ、91キロ。ナイジェリア人の父と日本人の母との間に生まれ、小学生時代は柏エフォートFCでプレー。柏レイソルU-15、U18で才能を伸ばし、18年、柏レイソルトップチームへ。同年1月開催の「アルカス国際カップ」で大会最優秀GKに選出されたことで世界的に注目され、翌19年1月、ポルトガル1部の強豪SLベンフィカのU-23チームに加入することに。20年8月には、UEFAユースリーグ決勝でレアル・マドリードと対戦。2-3で敗れるも、大会準優勝に貢献した。同年10月、2部SLベンフィカBで初ベンチ入り。22年1月、Bでデビューを果たし、5月にトップチームで初ベンチ入り。日本代表としては、U-15代表候補に選ばれたのを皮切りに、各年代で選出。今年4月のAFC U23アジアカップでは、数々のビッグセーブでパリ五輪出場権、アジア制覇に貢献。7月11日、ベルギー1部のシント=トロイデンVVへの完全移籍を発表した。

 

  1. 1
  2. 2
  3. 3