救世主を外部に求めるバルセロナの「矛盾」今季のうちには埋まらないレアル・マドリードとの「根本的違い」【スペインの2大名門の間に大きな差が生じた理由】(3)の画像
スペイン代表フェラン・トーレスを獲得したバルサだが、早急なチーム状況の改善は難しそうだ 写真:AFP/アフロ
■【画像】来夏、ムバッペとハーランドがやって来た際のレアル・マドリード予想布陣
 ここまで差が開くことは、今季開幕の段階では考えられなかった。
 リーガエスパニョーラで、首位を快走しているのはレアル・マドリードだ。カルロ・アンチェロッティ監督の就任で安定感を取り戻したレアル・マドリードは、第18節終了時点で勝ち点43を積み上げて順位表のトップに立っている。
 一方、苦しんでいるのがバルセロナである。今季途中にロナルド・クーマン前監督が成績不振で解任され、シャビ・エルナンデス監督が就任した。だが調子は簡単には上向かず、現在8位に位置している。
 なぜ、シーズン折り返しを前にして、勝ち点16ポイントという差ができてしまったのかーー。リーガにおいて、長く「2強」と称されてきたスペインの名門2クラブの光と影を検証する。

■バルサから失われたオートマティズム

 バルセロナの問題のひとつは、プレースタイルやプレーモデルにある。バルセロナというチームは、ただ勝つだけではいけない。「美しく勝つ」という創造主ヨハン・クライフの言葉にある通り、結果に内容が伴わなくてはならないのだ。

「我々は失ってしまったプレーモデルを取り戻す必要がある。私は6年間、バルセロナを離れていた。その間に何があったかは分からないが、少なからず驚いている。多くの選手はポジショナルプレーを理解していない。私は(バルセロナのカンテラで)11歳の頃からそのオートマティズムを学んだ。しかし今、それを理解していない選手が大半だ」というのは第18節エルチェ戦後のシャビのコメントである。

 クライフの影響を受け、バルセロナは育成に力を注ぎ始めた。【4-3-3】のシステムが選ばれ、カンテラの選手たちは幼少期からそのシステムでプレーするようになった。それによって、彼らはトップチームに昇格した際に適応の時間を短縮することができた。どのようにプレーするべきかが明確であるからだ。

 ただ、シャビの言葉に従うなら、現在そのオートマティズムは失われている。本来、シャビとしては伝統の【4-3-3】に加え、【3-4-3】を駆使する手法で勝つ方法を模索したいところだ。状況に応じて可変式システムを使うのは、現代フットボールの傾向に合わせた、いわゆる「アップデート・バージョン」である。しかしながら【4-3-3】での動き方とポジショナルプレーを理解していない選手が多いために、進化型の落とし込みに時間がかかっている。

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