後藤健生の「蹴球放浪記」第209回「ワールドカップ取材に欠かせないタクシー運転手との会話」(2)地元デンマーク料理に負けない米国発ステーキハウスの画像
シカゴでの開幕戦、ドイツ対ボリビア戦のチケット。提供/後藤健生

 最近のテレビでは、地元をよく知るタクシー運転手に穴場的な食事処を教えてもらう番組が人気だ。蹴球放浪家・後藤健生は、そのさきがけかもしれない。ワールドカップの取材における“妙味”を、地元のタクシー運転手から伝授されていたのだ。

■ユルゲン・クリンスマンの「ゴール」でドイツ勝利

 開幕戦ではアクレディテーション・センターのコンピュータがダウンするという事故(「蹴球放浪記」第101回「ペレのおかげでシステム障害発生」の巻参照)もありましたが、開幕戦はユルゲン・クリンスマン(韓国代表前監督)のゴールでドイツが1対0で勝利して無事に終わりました。

 翌日、僕はニューヨークでのイタリア対アイルランド戦を観戦するために、シカゴのオヘア空港にタクシーで向かいました。

 そうしたら、タクシー・ドライバーが教えてくれました。

「見ろ、ここの右側にO・J・シンプソンの自宅があるんだぜ」と。

 それから、ドライバーは延々とシンプソンの話題について語ってくれました。こちらは、あまり興味ないんですが……。

 普通、ワールドカップ開催国で外国人がタクシーに乗ったら「どこの国から来たのか」とか「どこが強そうだ」とか「昨日の試合はどうだったか」とか、ワールドカップの話題になるはずです。まして、こちらは大会のアクレディテーション・カード(大会身分証)を首からぶら下げているんですから……。

 しかし、この国ではドライバーの話題はあくまでもO・J・シンプソンなのでした。

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