1点リードしている状況で、しかも、シュートが外れたことで安堵して自分のポジションに戻ろうとする選手もいる中、槙野は違った。一つ一つのプレーでこだわらなければ失点をなくすことはできないと肌で感じているからこそのアピールだった。槙野の咆哮は、線審に対してしっかりジャッジしてほしいという気持ちがあったことはもちろんだが、同時に、チームメイトの奮起をさらに促したはずだ。
強い気持ちを持ってプレーし続けた槙野は、試合終了のホイッスルが鳴ると、ピッチに完全に背中をつけて倒れ込んだ。全神経を注いでゴールを守ったからこそ、勝利を喜ぶ体力は残ってなかったのだろう。それでも、サポーターに向けてピッチを1周する際には疲れを見せず、観客席にガッツポーズや手を振り続けた。
ホーム3連敗となった名古屋戦後に、「下を向く時間もないと思っています。チームはまだまだ死んでないというところを見せなければいけない」と熱く語った男は、これで満足するはずがない。「継続」と言い続けるように、さらなる歓喜をサポーターに届けるつもりだ。